【マツダAZワゴン(スズキワゴンRのOEM車種)エンジンストール原因特定と修理事例】
-長野市のお客様-
出先からエンジンがかからないと連絡をいただきました。それまでは問題なく順調だったそうです。レッカーで当工場に入庫の上診断させてもらいました。
★平成11年 MD21S 走行距離8万㌔弱
整備士と車といった間柄で、車を人に置き換えたとすれば内科医師の診察に例えられます。これまでに経験したことのある症例を参考に、考えられる可能性を比較的簡単なところからひとつひとつ順番にシロクロを特定して潰していきます。
まずはじめに、点検の為セルを回すとアクセルを踏み続けていないとプスンプスンと揺れてストールしてしまう状況です。スローが完全に効かない状況で、1000回転以上だと普通に立ち上がる状態です。アクセルペダルを離すとストンと止まってしまいます。
この時点でエンジンチェックランプ等は灯いていません。スキャンツールでも異常はありませんでした。
まず、スローが効かないということはISCVの不良を疑って、スロットルボディの内部をクリーナーで清掃して始動トライしてみましたが、症状は改善されません。
過去に類を見ないケースであったため、ディーラーに相談すると、スロットルチャンバとコンピューター(ECU)をセットで交換してみてはとアドバイスを受けました。これらの部品は電装系も絡んでいるために中を切り開いて見るわけもいかず新品だと高額になるので良質な中古パーツをセットで取り寄せて交換しました。
同年製造型 MC21S(ワゴンRに使用)走行距離4万㌔弱のもの
➝しかし症状は変わらず。ここは整備士経験を頼りにひとつひとつ思い当たる部分をあたっていくしかありません。
▼取り出したスロットルチャンバとECU
悩んだ挙句に点火プラグを取り出すと不完全燃焼(?)か黒いカーボンが多く付着していました。そこで排気ガスの状況を確認です。アクセルを慎重に踏み続けエンジンがストップしない状態を保ちながら排気ガスのCOとHCの濃度を測定すると高濃度の異常値を示しました。ここでわれわれはバルブタイミングが要因ではないかと疑いました。
この時点で何気なく気が付いたのですが、なんとエンジンのチェックランプが点灯しているではありませんか!さらにスキャンツールでは”VVT系統異常”と表示されています。診断当初は何も現れなかったのにどうしてここで点灯するのか(?)といった状況です。
▼異常を示すチェックランプが点灯
スキャンツール操作で異常表示を消しても、一旦は表示が消えますが、2~3秒後にすぐ点灯してしまいます。ということは故障は改善されていないということです。
そこで新品のVVTアクチュエーターを取り寄せました。
発注の翌日届いたものは…
旧型と新品では仕様が少し変わっていました。
仮に良いものであれば仕様を変える必要なんて無いのですが、恐らくこのような症例が相次いだために改良を余儀なくされたのではないかと推測されます。
▼左が新型(改良品) 右が旧型
新型はストレーナが3ヵ所に改良されてました。別添ガスケットはストレーナ付き。
旧型は1ヵ所です。ガスケットではなくゴムパッキンです。
交換セットをし、エンジンを始動したら完全復旧しました。
排気ガス、音、エンジン回転とも問題無し。
不調時排気ガスのCO・HC値に高濃度の異常が出ていたのもバルブタイミングの狂いが関係していたためだと結論付けできます。
最後にスキャンツールでエンジンチェックランプ点灯を消去して完了です。
故障にはさまざななケースがあります。今回の事例も可能性のひとつとしてお考え下さい。
スロー不調の原因が掴めなくて悩んでいる整備士さんの参考になればさいわいです。
検索いただきありがとうございました。
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